イエネコは、形態学的分析を主とする伝統的な生物学的知見によって、以前からリビアヤマネコ(Felis silvestris lybica)が原種とされてきた。 また、20世紀末ごろから発展した分子系統学等による新たな知見も、2007年に発表されたミトコンドリアDNAの遺伝子解析[1]など、従来説を裏付ける形となった。
愛玩用家畜として同じく一般的なイヌ(Canis lupus familiaris)に比して、ネコは人間に飼われ始めた時期が遅いが、この理由は家畜化の経緯の相違による。イヌは狩猟採集民に必要とされ家畜化されたため、早い時期から人の社会に組み込まれ、狩りの伴侶、外敵への備え、幼子の保護者にもなり得た。しかしネコは、農耕の開始に伴い鼠害[2]が深刻にならない限り有用性が無く、むしろ狩猟者にとっては競合者ですらあった。その競合的捕食動物が人のパートナーとなり得たのは、穀物という「一定期間の保管を必要とする食害を受けやすい財産」を人類が保有する時代が到来し、財産の番人[3]としてのネコの役割が登場した事による。
農耕が開始され、集落が人類の生活の中心となった時期、中近東もしくはその周辺で、近隣の山野でネズミやノウサギを追っていたネコが、ネズミが数多く集まる穀物の貯蔵場所に現れ、中には棲みつくものもいたのが始まりと考えられている(リビアヤマネコの生息地と農耕文化圏が重なった地域で、複数回起こっていたと考えられる。時期は特定されていない。「#猫と人間の歴史」節も参照のこと)。 肉食性のため穀物には手を出さず、それを食害する(人にとっての)害獣が主食であったことから、双方の利益が一致。穀物を守るネコは益獣として、追い払われずにむしろ大切にされるようになり、やがて餌付けから家畜化に繋がっていった。
ただ、多くの民族が交錯し盛衰するなかでは、新しい家畜が定着するための文化的連続性が確保されにくく、初めて人に飼われたネコから現在のイエネコに直接血統が連続しているとは考えにくい。ネコが飼育されていた最古の実例は、キプロス島にある約9500年前の遺跡から見出されている。 また、今日のイエネコの直接的・系統的起源は詳らかではないが、紀元前3000年ごろの古代エジプトで固定化されたものと言われている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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